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再生可能エネルギー事業(太陽光発電・バイオマス発電・小型水力発電)
2020-11-27

エネルギーの自給率向上は日本の最優先課題

エネルギーは私たちの暮らしを支える血液だ。止まることは死を意味しあってはならない。しかしながらエネルギーの自給率は2017年で9.6%。OECD加盟国36か国で34位。93%のアメリカ、68%のイギリスと比べ大きく見劣りがする。これで日本人の生命と安全を守ることはできない。さらにIEA(国際エネルギー機構)によると、日本の発電コストはアメリカの2倍、欧州の1.5倍だ。低い自給率は国家の安全保障の、高い電気料金は産業競争力の観点から放置できない。特にエネルギーの自給率の向上は昭和の悲惨な戦争を繰り返すだけではなく、自然災害や気候変動など新しいリスクへの抵抗力(リジェリエンス)にもなる。

日本は依然として火力発電が主体で2018年での電源構成は火力発電が77%、再生エネは17%、原子力は6%となっており、脱炭素化とは程遠いいびつな状態にある。世界ではすでに再生可能エネルギーは施工が早くでき、さらに設備が軽く運転の人出が少ない。20兆円ともいわれる中東の産油国への燃料支払いが不要となるなどの利点がある。さらにホルムズ海峡やマラッカ海峡などを防衛するための軍事費も削減できることから再生可能エネルギーの自給率の向上が日本にとって最優先課題となる。

日本の再生可能エネルギーが普及しない最大の理由は大手電力会社の火力発電と未稼働原子力発電の送電利用枠がまず確保され、容量や需要を超えると再生エネの発電抑制が要請されるシステムと大手電力会社の供給地域を越境することが不可能な広域送電網が理由となっている。

こうした状況では九州地方に眠る太陽光や北海道、東北の風力が送配電する見込みが立たない。まず送電線の国有化を図り、さらに再生エネの優先開放が認められればコストの高い火力発電や原子力発電は次第に再生エネに代替されることになる。またポストコロナ時代におけるデジタル化は電力取引と電力融通のネットワークが広がることによって、各地の天候の違いも再生エネ安定化の材料となる。異なる地域の様々なエネルギー電源を一括して管理するシステムで不足を補うこともできる。

経済産業省や大手電力会社は既得権益を謳歌する時代は終わったことを自覚すべきである。縦割り行政と既得権益を打破するにはデジタル庁をつくり、デジタルとAI(人工知能)によるエネルギーの一括管理によってエネルギーの自給率の向上ができることを理解しなければならない。デジタル化とは便利なツールだけではないし、またファッションでもないのだ。

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